冊子から おにぎりの話

  • 2017.03.28 Tuesday
  • 21:24

冊子「がん家族。」の最後に出てくるお話しです。

 

 

『おにぎりの話』

 

 

わたしの父が癌になり、最後の入院になるだろうという時のことです。
わたしの家族は幼少のころから母が病気がちだったため、揃って食事を
することがないバラバラな家族でした。


でも、わたし達兄弟も大人になり両親の事情が理解できるようになり、
やっと家族そろって笑いながら食卓を囲めるようになったとき、父の癌
がみつかりました。

 


くやしかった。
癌に家族の時間をとられた気持ちでした。

 


そんな事情もあり、わたしは父の看病を夢中でやりました。
そして父の入院が最後になるだろうという時、わたしは寝ることも食べ
ることも泣くことも忘れ、こころと体がボロボロになってきたころ、父
と同じ病室の他の患者さんの家族であるあばさんが『おにぎり』をくれ
たんです。
「おねえちゃん、全然食べてないやん。おばさんが作ったおにぎりを食べ。」

わたしの本心は「おにぎりなんか喉を通らないのに・・・」と思いまし
たがむげに断れず、ボソボソほおばりました。

 

 


翌日変化がおとずれました。


お腹が満たされその晩はあまり目が覚めることなく眠れました。
今まで朝は、鉛のような起き抜けだったのが少しスッキリだったんです。
なんと、気分がよかったので付き添いの時に、治療を嫌がる父に優しく
「じゃ、いいよ。いつも頑張ってるもんね。」とイライラせず言えたんです。
するとおどろいたことに、父が「明日は頑張ってみるよ。」と言ってくれ
ました。 わたしの表情にゆとりがあったので安心したようです。

 


わたしは、痛がる父の姿や治療を受けさせねばという「いたたまれない
気持ち」で頭の中がいっぱいだったのが、『おにぎり』を食べたおかげで
少しの力を取り戻すことができました。

 


その力はスパイラルのように、ころころと、良いことに繋がったのです。
『おにぎり』は話を聞いてくれる人にも当てはまります。

少し愚痴や不安をきいてもらうだけで、気持ちのゆとりを生み出します。

 


サポート協会は、この『おにぎり』のように看病をしているひとの「気
持ちのゆとり」を取り戻す手助けができればと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

がん家族セラピスト  酒井たえこ

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